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→Pia-no-jaC←『Cinema Popcorn』インタビュー Part.1
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(取材・文 / 西廣智一)
──ニューアルバム『Cinema Popcorn』、じっくり聴かせてもらいました。映画音楽のカバーでアルバムを作るアイデアは、以前からあったものなんですか?
HIRO: 『EAT A CLASSIC』シリーズとは別に、何か他のことをしたいなというのは以前からあって。で、「クラシック以外に誰もが知ってるような音楽って何かな?」と考えたときに、やっぱり映画音楽というのは皆さん知っているなと。例えばHAYATOは『スター・ウォーズ』が好きなもんだから、去年のツアーでも「スター・ウォーズのテーマ」をカバーしていたんですけど、反響が大きくて。
HAYATO: あのときは正直ここまでは考えてなくて、ネタのひとつとしてやったらドカーンと湧いてくれたんですよ。そこで知ってる曲が突然流れると、人はこうなるんだっていうことに改めて気づかされて。だったらということで、今回は初めてのトライということで誰もが知ってる映画音楽、その映画を観たことはなくても曲は知ってるというものばかりを選んでアレンジしました。
──今回セレクトされた映画の大半は、90年代から2000年代前半の作品ばかりで、おふたりにとっては世代的にドンピシャかなと思うんですが?
HAYATO: そうなんです。『戦場にかける橋』だけがちょっと古いんですけど、それ以外は僕らがちょうどリアルタイムで観てきたものばかりで。
HIRO: リスナーの皆さんが知ってると同時に、俺らがわかりやすかったのがそのへんの映画だったんです。
──ちなみにおふたりは映画をかなり観るほうですか?
HAYATO: 時間があればかなり観ますね。
HIRO: うん、観ますね。
HAYATO: 本当に時間があるときは、ひとりで映画館に行きます。あの空間が好きなんですよ、気分転換にもなるし。DVDで観るのもいいんですけど、気持ちを切り替えたければ映画館かなと。
HIRO: 家だと集中して観るというよりも、リラックスしすぎちゃいますし。
──ジャンル的にはどういう映画が好きですか?
HAYATO: 人から「面白いよ?」と言われたら観に行っちゃうタイプなので、あまりジャンルにこだわったりはしないですね。
HIRO: 俺もこだわりなしに観るほうなんですけど、意外とアクション映画を観ているというか。『ショーシャンクの空に』みたいな映画も好きなんですけど、ふと気がついたら『キングスマン』みたいなアクション作品を観てることが多いんです。スカッとしたいときにそういう映画を観ると、気持ち的にも盛り上がりますし。
──カバー作というと、これまでは『EAT A CLASSIC』シリーズでクラシックの名曲をピアノとカホンで表現してきましたが、今回の場合はディズニーのカバー同様に“歌モノ”も含まれていますよね。
HAYATO: 確かに。メロディラインを大切にしつつ、雰囲気をどう→Pia-no-jaC←風に変えていくかはかなり話し合いましたね。
──映画音楽とひと括りにしてますが、このアルバムの収録曲の原曲はオーケストラで演奏しているものからロックバンドが演奏しているものまでさまざま。これをよく1枚にまとめようと思いましたよね(笑)。
HAYATO: ・HIRO(笑)。
HIRO: とはいえ、やっぱり→Pia-no-jaC←としてひとつのジャンルに括れるので。確かに音楽としてはジャンルはバラバラでしたけど、「→Pia-no-jaC←のアルバム」としてまとまるから大丈夫という自信だけはありました。
HAYATO: そこは一番意識しました。やっぱり「→Pia-no-jaC←のアルバム」にならなければ意味がないと思ってたので、ピアノとカホンで、曲によってはどこまでバトれるかっていうことでセッションを重ねて、お互い気持ちいいポイントを探していった感じですね。特に今回はHIROが小物系を使うことが多くて、そのへんは苦労したみたいですけど。
HIRO: 改めてやってみて思ったのが、クラシックだったらその曲の中で新たに物語を作るんですけど、映画音楽の場合はまず映画の中にひとつの物語がすでにあるので、それを曲の中で利用できるなと。例えば「PROLOGUE: BOOK II AND THE ESCAPE FROM THE DURSLEY」の場合、映画『ハリー・ポッター』の中でフクロウが重要なキーワードになってると思うんですけど、それを受けて「フクロウの声、入れられへん?」っていうリクエストがあってちょっとトライしてみたんですけど……それも力技で乗り切った感じです(笑)。
HAYATO: 最初は全然フクロウじゃなかったんですよ(笑)。
──どんな小物を使ってフクロウの鳴き声を再現したんですか?
HIRO: 「かっこう笛」という楽器がありまして、その笛を下のほうのキーを吹くと意外とフクロウっぽくなるかなと思ったんですけど、あんまりフクロウっぽくならなくて。
HAYATO: 「どんなフクロウやねん!」って、まずそこで爆笑が起こりました(笑)。
HIRO: 「いや、これのトーンをもっと落とせばフクロウになるんだよ!」って言ってね。
HAYATO: 映画の雰囲気を大事にしようってことで、“魔法の音”も再現して。すごく奇妙なことをしてましたけどね(笑)。
HIRO: 確かに、魔法の音も苦労しました。
──曲の中盤に出てくる、神秘的な音ですよね?
HIRO: そうです、あの「キラリーン!」って音。あれも新しい小物をいろんなところから探してきて、「これだったら魔法っぽいかな?」っていうのを使ったんです。あれは針金みたいに長い棒が鳴ってるんですよ。針金だから形を変えられて、それがちょっと魔法のスティックっぽいんです。
HAYATO: でもその音がすっごいちっちゃくて、マイクで録るのが大変で(笑)。
──そういういろんなチャレンジがあったわけですね。レコーディングで採用した小物は、ライブでも使用するんですか?
HIRO: 最初は使おうかなと思ってたんですけど、それをやってしまうと初見のお客さんにはギャグに見えてしまう恐れがあるので。
HAYATO: 振り回して音を鳴らす系のものが多いから、ひとり真剣にブンブン振り回していても笑いが起こるだけですし(笑)。
HIRO: まだ試してはないんですけど、この曲がお客さんに浸透してから検討しようかなと。
──この曲はかなりドラマチックな展開ですよね。
HAYATO: ですね。メロディラインが神秘的でとても特徴があるので、そこは絶対に生かしつつ、そこからどう→Pia-no-jaC←流に激しくしていくかをかなり考えました。
HIRO: カホンに関しては、後半部分の3拍子で相当な疾走感を出すところは、少しでも集中力が途切れたら終わりというか。緊迫感を保ったまま最後まで突っ走るのはちょっと大変でしたね。
──これまでの『EAT A CLASSIC』シリーズだったら原曲から象徴的なフレーズや自分たちが気になるフレーズをピックアップして、そこから広げていって自分たちの作品にするという手法だったじゃないですか。でも今作では、歌メロがある楽曲だったらそれを残しつつ、そこに自分たちのカラーを加えていくわけですよね。
HAYATO: でも根本的にはそんなに変わらないんですよ。その曲の大事なところは使うけど、あとはセッションしながら肉付けしていく、だけどメロディラインを生かしたようなリフは多くしてます。でも今回は制作を通じて、メロディラインの作り方が本当に勉強になったなと。「こういうコードにいくと、こういう音にたどり着くのか」という映画音楽独特の進行に最初はなかなか馴染めなかったんですけど、弾いているうちに「ああ、なるほど」というような発見もあって、クラシックとはまた違った音使いでとてもいい機会になったと思います。
──それこそ鍵盤で作った曲もあればギターで作った曲もあるわけで。
HAYATO: そうなんです。それを全部ピアノで弾くんですけど、なんでも表現できてピアノってすごいなと改めて思いましたね(笑)。
【Part.2へ続く】
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